何事も目標から逆算して今やるべきことを導く【ロールモデルvol5:大谷義武】

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 この連載では、自分でキャリアを切り拓いてきた方にインタビューして、そのようなキャリアを選んだ理由や背景を明らかにしていきます。記事を通して、仕事を経験したことがない就活生でも、キャリア形成のイメージが出来るようにすることが目的です。

 この連載を通して、様々なロールモデルとなりうる方を紹介していきます。そのどれか一つでも、就活生が自分と重ねあわせることが出来れば、自身のキャリア形成に大きく近づくことでしょう。是非、多くのロールモデルに触れ、共感できる人を探してみてください。

 今回は、武蔵コーポレーション株式会社代表取締役の大谷義武さんにインタビューしました。

以下、インタビュー内容

Q.大学時代はどのような生活をされていましたか?

 東京大学の体育会庭球部に入部しました。私は、勉学よりも体育会の活動に力を入れていました。体育会の活動に力を入れた理由は、学業以外で自分が勝てるものを身につけたかったからです。私の出身高校は東大合格者が少ない県立高校だったので、毎年大勢の東大合格者を輩出するような進学校とはやっていることが全然違いました。実際、大学ではそういった進学校から来た人の方が勉強ができるので、勉学では勝てる見込みないと考えていました。そこで、彼らに無いものを身につけなくてはいけないと思い、体育会に入ることにしました。テニスが目的というわけでなく、社会勉強が目的でした。社会では上下関係の厳しさや、理不尽なことがあるだろうと考えていて、それを早いうちから経験できるのが体育会だと考えての判断です。

Q.体育会庭球部ではどのような社会勉強をしたのでしょうか?

 入部してみると、案の定厳しい組織でした。1分でも遅刻すれば制裁を加えられるような環境だったので、私が入る年までは皆坊主でした。学ランを着るのも常識です。1年生は、他大との試合の際にボールボーイをやるのですが、相手校のボールボーイにボールを取られないようにしなくてはならず、反対コートに落ちたボールに対しても全力で走って取りに行くことが当たり前でした。とにかく、今の時代から考えてみれば尋常ではない世界でした。先述の通り、私はそれを求めて入部しましたし、そこで培った社会の厳しさや緊張感はその後において非常に役に立ちました。起業できたのも部活経験のおかげだと感じています。

Q.具体的にその経験はどのように活かしましたか?

 例えば、お客様の要望に全力で応える形で表れます。大きな組織にいるとどうしても組織的な事情が発生するため、お客様の要望に応える上で躊躇してしまうシーンがあります。そんな時こそ「わかりました」と言って、早急に対応させていただくというような習慣が身につきました。部活の飲み会でも先輩にお酒注ぎに行く文化があった関係で、社会に出てからも必ず先輩のところに注ぎにいくというような、社会の常識を刷り込むことができました。新卒で入社した三井不動産でも夜遅くまで仕事することもありましたが、部活での厳しさと比べればネガティブなイメージはなかったです。

Q.新卒時の就職活動はどのようなものでしたか?

 特にやりたい仕事がない状態で就職活動をしていました。内定を頂いた企業には、日本興業銀行、三井不動産、野村不動産、東京海上日動などがありますが、その中で三井不動産を選んだのは給料が高かったからという理由です。不動産が特にやりたかったというわけではなかったです。僕自身は、忙しい部署に配属されて厳しい先輩の元に着いたので、夜遅くまで働いていましたが、基本は落ち着いている会社です。落ち着いていて、給料が高かったというのが当時の企業選びの基準でしたね。その他の基準としては、会社に勤めるからには上に行きたいという気持ちも強く、できれば社長になりたいと考えていました。そういった視点で当時の内定先を分析したところ、内定者数と関係会社数で比較すると三井不動産が社長になれる確率が高いなという判断になりました。

Q.武蔵コーポレーションを起業するまでの経緯を教えてください

 実は、起業にあたって三井不動産での仕事はそこまで活きていません。唯一、アウトレットのテナント誘致の仕事で学んだことは生きてきています。当時関わっていたのは、大型ショッピングモールに店舗を誘導する仕事でしたが、オーナー系の店舗を誘致する時はそこのオーナー社長と話を進めていきました。その中で、体育会系の姿勢や態度を気に入ってもらえて、オーナー社長の方々に可愛がってもらえるようになりました。オーナー社長とお話をさせて頂く中で、サラリーマンの道以外にもこういう生き方もあるのかと知ることになりました。そして、いつしか自分でやりたいと思い始めました。

Q.三井不動産の社員で大谷社長のように退職される方は多いのでしょうか?

 比較するところにもよりますが、一般的には転職者が少ない企業だと思います。というのも、辞める理由は基本的に二つしかなくて、一つは外資にいくためです。外資のトップに三井不動産出身者は多いです。三井不動産でもMBAをとってくるような人は、外資の不動産金融という分野で活躍するために転職するというパターンは圧倒的に多かったです。もう一つは実家を継ぐというパターンです。三井不動産には慶應の幼稚舎の方が多くて、最初の一定期間は三井不動産で働いて、ある程度したら親の会社を継いだり、政治家になったりしていく方が一定の割合でいました。そのため、私のように独立するという人は初めてだったらしいです。というのも、三井不動産の仕事は独立する仕事に向いてないのです。三井不動産という看板があるからこそできる仕事が多いので、いきなり独立して何かできるかというとそうではないのです。それでも独立しようと思ったのは、三井不動産の仕事の中で出会ったオーナー社長のおかげです。

Q.独立される際には何か下地があったのでしょうか?

 全くのゼロからのスタートでした。退職後、無くなった祖父から譲り受けた土地にアパートを建てました。そこからアパートの世界に興味を持ち始め、周辺業界などを研究しているうちに、この業界の有望性と他にプレーヤーがいないということで、現在の会社を起こすことになりました。当時は、日本がちょうど人口減少に入った頃で、老後を控えた方は年金がもらえるのか不安になり始めた時代でした。不安になると、収入を確保するためにアパートなどを買い始めるだろうなと考えていて、それが的中したのです。当時は、アパートを扱う不動産屋がなく、需要があるのに供給がない、これはビジネスチャンスだと考えました。もちろん、初めは物件を買う資金もなかったので、不動産屋の仲介ビジネスを手掛けていました。

Q.武蔵コーポレーションの設立に込められた想いやビジネスモデルを教えてください。

 富裕層支援がビジネスモデルです。私たちのターゲットは、人口の5%程度になります。ターゲットの母数は少ないですが、弁護士の方や開業医の方、社長の方など、影響力の大きい方向けのビジネスになりますので、彼らが元気になることが世の中の元気につながると考えています。中小企業の社長を例に挙げると、日本全体の企業のうち99.9%が中小企業です。そして、富裕層である中小企業の社長が元気になれば、多くの中小企業が元気になり、日本全体が元気になると考えています。このような考え方で、富裕層支援による社会貢献を志しています。私たちの会社の強みはこの思想を全うしているということです。私たちの場合は、買った人たちへのケアもきちんと行っていて、買った方が元気になるというのが根幹の目的にあります。例えば、「物件の一部が壊れてしまった。現在は、お金がないがどうしよう」というような悩みには「うちでやっておきますよ」というようなサービスをしたり、「この物件が本当に良い物件なのか不安になった」という方に対しては「同じ値段で買い戻す」ことを行ったりしました。その結果、信頼も寄せられるようになり、さらに買っていただけるようになったというのが我々の根本です。もちろん技術的にはもっと細かいものがありますが、我々の根本はやはりこの部分です。
 また、三井不動産の経験から言うのであれば、三井不動産のやり方が少し利己的に感じる部分がありました。大型ショッピングセンターを作ることによって、今まで存在した商店街はシャッター街になってしまいます。当時は、そのシャッター街はどうなるのだろう?という疑問は持っていましたし、これって本当にいいことなのかと思うようになりました。誰かを不幸にするような仕事はやりたくない、誰も不幸にしないようなビジネスをしたいと思って現在の仕事をするのに至ったのです。そのため、新卒学生の採用時も武蔵コーポレーションと価値観が合うか合わないかを重視しています。

Q.学生に向けてメッセージをお願いします。

 ゴールを設定しなければやることは見えないと考えています。何事も目標があるから、逆算して今やるべきことが見えて来ます。大学を出てしまうと、選択肢が広がる分、ゴールがないまま過ごしてしまう人が多いように感じます。ゴールがない中で何をやっても意味がないと思います。そのため、学生の皆様には是非自分なりのゴールを設定して、逆算しながら目の前の課題に向けて努力して欲しいと思います。
《MyCareerCenterスタッフ》

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